目次

画像処理

単眼カメラによる高速自己位置推定手法の改善

近年,無人航空機( UAV:Unmanned Aerial Vehicle )に関する研究が注目を集めており,災害管理,工業検査そして環境保全において主要な役割を果たしている.しかし,このような作業は遮蔽物やトンネル内など GPS を用いるのが困難な状況下では十分な精度の状態推定が行われない場合がある.このような状況下でも UAV の状態推定を行うため,UAVの下方に搭載された単眼カメラのみを用いて状態推定を行うSVO( Fast Semi-Direct Monocular Visual Odometry )という手法が提案されている.しかし,この手法に用いられている特徴 点抽出法である FAST(Feature from Accelerated Segment Test )は高速処理が可能である が,特徴点抽出の輝度変化に対する安定性が低く,大量の特徴点を抽出するため,多段処理により特徴点の安定性を高める必要がある.そこで本研究ではSVOの特徴点抽出法を改善し,高精度かつ高速なUAVの状態推定を行う手法を提案する.

提案手法

SVO のマッピングスレッドの特徴点抽出に用いられている手法はFASTである. FASTは明暗のみで特徴点抽出を行うため,輝度変化に対する安定性が低い.また,大量の特徴点を抽出することから多段処理により特徴点の安定性を高める必要があるため,処理時間を要する.以上のことから,特徴点の安定性が低いとサンプリングレートが低いカメラではフレーム更新時に特徴点をロストすることがあり,トラッキングスレッドの処理が満足に行われない.そこで本研究ではマッピングスレッドの特徴点抽出に注目し,輝度変化に強く,抽出した領域の中心を特徴点とすることで安定性の高い特徴点抽出を行うことが可能なMSERを用いることで,サンプルレートの低いカメラを用いても,十分な自己位置推定を高速で行うことができる状態推定法を提案する.
Nishida_Lab