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宇宙と同様,海洋は人間にとって極限環境です.そこで人間に代わり 活躍するロボットの研究開発が行われています.
海洋調査を主目的とした水中ヴィークルはすでに実用化されており, その中にはマニピュレータを搭載したものも存在します. しかしながら,搭載されているマニピュレータはヴィークル(ロボット本体)に 対して小型であり,マニピュレータの反力の影響はロボット本体にほとんどなく, また,その操作は人間により行われています.
そこで近年,将来の海洋開発において,さまざまな資料採取, 海洋構造物の建設・保守点検などを行うことを目的に, 本体に対して比較的大きなマニピュレータを搭載した自律型水中ロボット (UVMS; Underwater Vehicle-Manipulator Systems)の研究が行われています.
本研究室では,を製作するとともに,シミュレーションと実験によりUVMSの制御法開発を行っています.
マニピュレータが水平方向に動くタイプのロボット
マニピュレータが垂直方向に動くタイプのロボット
また,UVMSが自律的に動くために必要となる計測システムの開発もあわせて行っています.
作業対象の3次元位置・姿勢計測システム
ロボット本体の姿勢計測システム
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マニピュレータが水平方向に動くタイプのロボット
まず,マニピュレータのダイナミクスを考慮した制御法を開発するため, ロボット本体を制御しない タイプの水中(正確には水面上で浮上している)ロボットを製作し,実験によりマニピュレータ先端(手先)の位置制御実験 を行いました.つぎに,ロボット本体を制御するためのスラスタ(プロペラによる推進機器)を搭載し, 本体の位置・姿勢とマニピュレータ先端位置の制御実験を行いました.
スラスタなし | スラスタあり | |||||
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マニピュレータが垂直方向に動くタイプのロボット
マニピュレータが垂直方向に動くタイプのロボットにより得られた結果をもとに, マニピュレータが垂直方向に動くタイプのロボットを用いて,種々の制御実験を行っています. 特に,ロボットのコントローラは一般にディジタルコンピュータですので, ディジタル制御法の開発が中心です.下図は,実験システムの構成と,マニピュレータ先端を与えられた軌道に追従するために 本体が移動している場合の実験結果です.
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作業対象の3次元位置・姿勢計測システム
マニピュレータが作業するためには,ロボットと作業対象との位置・姿勢情報が必要です. そこで,水中ロボットに搭載できるための,小型ステレオビジョンシステムを開発しています.ステレオビジョンシステムは2台のカメラがそれぞれ2方向の回転(パン,チルト)することにより計測しますが,従来のステレオビジョンシステムでは,カメラ位置が固定されているため,2つのカメラ画像が計測対象を捕捉するために何らかの方法が必要です.そこで,開発中のシステムは2台のカメラが移動可能な機構を採用しています. この機構により,2台のカメラを隣接させることが可能となり,2つのカメラ画像は ほぼ同一となるので,計測対象の対応が容易となります.その後,2台のカメラを, それぞれがカメラ画像の中心に計測対象を捉えつつ最大距離まで離して行き,三角測量 の原理を用いて,計測対象の3次元位置・姿勢を求めます.さらに,ロボットが水中で探索を行う場合には2台のカメラを個々に用いることができ,探索範囲が広がります.実際には,計測対象をいずれかのカメラで捕捉した場合は, 計測対象を捕捉したカメラはカメラ画像の中心に対象を捕捉しつつ, また,もう一つのカメラは同じ姿勢(パン,チルト)を取りながら,2台のカメラを隣接 させます.その後,上述の方法で計測対象の位置・姿勢を求めます.
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ロボット本体の姿勢計測システム
1軸振動式ジャイロ3個を防水ボックスに収めたセンシングユニット
[質量334g, 大きさ80mm×120mm×55mm]水中ロボットは地上用の移動ロボットのようにGPS等の 計測システムを用いることが出来ません. 水中用姿勢計測センサとしては傾斜計,磁気センサ,ジャイロスコープが 用いられています.しかしながら,傾斜計は加速度計を用いますので,並進加速度成分が加わります. また,磁気センサは地磁気以外の環境磁気の影響を受けます. そのため,ジャイロスコープが最も有用なセンサであると考えられますが, 現在用いられているものは,サイズ,価格等に問題があります.近年,小型,安価かつ性能面でも十分に精度の高いジャイロスコープが開発されています. そこで,1軸小型ジャイロセンサを3個用いた,水中ロボット用姿勢計測システムを 開発しています.
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